ゼロの相棒
ゼロは、それを聞いてとても驚いたような顔をした。
私は、そんなゼロに尋ねる。
「ねぇ、ゼロ。“朔旦冬至”って何?」
ゼロはまっすぐ私の方を見て答えた。
「“朔旦冬至”っていうのは、一年で一番昼が短く、夜が長い“冬至”の日と、月の出ない“朔の日”が重なった日のことを言うんだ。」
「運命か…。そうなのかもな…。」と、ゼロは、遠い目をして呟いた。
…ということは、夜が一番長い日に、
ゼロは元の姿に戻れるってこと?
十九年に一度だなんて、すごい確率なんじゃ…。
ジンが、ゼロの方を見て言った。
「冬至の日まで、あと一ヶ月ほどあるが…まぁ、この情報が知れてよかったな。」
ジンは、ドロシーの方へ、くるり、と向き直った。
「そろそろ町へ戻ろうかな。
ありがとう、ドロシー。また来るよ。」
ドロシーはジンの言葉に小さく頷くと、
深青の瞳を輝かせ始めた。
私たちは、一瞬で塔の入り口へと移動する。
「何か変わったことがあれば伝えるわ。
また来てね。」
ドロシーは、そう言うと
ガチャン、と塔の扉を閉めたのだった。