ゼロの相棒





ゼロの浮遊魔法は最近慣れてきたけど
瞬間移動は何回やっても慣れない。





私が宿屋に町に向かって歩き出すと、
ゼロが私を呼びとめた。




「フィオネ。俺は少し寄り道して帰る。
先に宿屋に戻っていてくれ。」




私は、そんなゼロに少し驚いた。




今までは、グランに頼まれた時以外は私と離れて単独行動なんてしなかったのに。




「わかったわ。…部屋にいるからね。」





私はゼロにそう言い残すと、
彼に背を向けて歩き出した。






なんだか、少し胸騒ぎがする。


この町に来た時と同じ気持ちだ。





…別に、このまま会えなくなるわけじゃないのに。





ゼロは、私の背中を見送ると
少し悲しそうな瞳をして息を吐いた。





「じゃあ、ここで解散ってことで。

僕も昨日の彼女に会いに行かなきゃならないからね。」




ジンがそう言って歩き出すと、
ゼロはジンの襟を後ろから、ぐっ!と
引っ張った。





ジンは一瞬、息が止まる。





「げほっ!…何するんだよ、ゼロ…」





咳き込みながらジンが振り向くと、ゼロは真剣な表情をして、静かに言った。






「お前を“親友”と見込んで話がある。
……頼みがあるんだ。」





「え………?」





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