ゼロの相棒




「ダリシーンの魔法は、外に出す、と言っても、自然界にそのまま放り出すことは威力が大きすぎてできなかった。


だから、俺は、強力な魔法使いにその魔法を移すことを考えたんだ。」






ゼロは何かを決心したかのように
黙ったりすることなく私に話し続ける。






「ダリシーンにこの魔法を突き返すことを一番に考えたさ。


あいつなら、上級魔法使いの最高峰だから、俺の魔法と、自身の魔法に“耐えられる”。



でも、もし、そのまま“耐えきれなかった”としたら?」






私は、ゼロの言葉の続きに神経を集中させる。







“聞いてはいけない。”







心の中の私が叫ぶ。







「ダリシーンは、俺にとっては憎き敵でも、都市や、国の民にとっては優秀な王だ。


…魔法をかけられたすぐ後、都市でガーディアンの統率を見て、そう思ったよ。」







“やめて、その先は聞きたくない。”







そう言えば、今ならまだ間に合う。







私はだんだん息苦しくなるのを感じた。








「だから、俺は旅に出たんだ。俺についてきてくれる“相棒”を見つける旅に。



ダリシーンの魔法を消し去る俺の魔力を移せる“相棒”。



もちろん、上級魔法使いでも“耐えられる”保証はどこにもない。」







そして、ゼロは旅の核心を突く言葉を放った。






「だから、相棒には条件をつけたんだ。




“孤独なこと”
“いなくなっても、悲しむ者がいないこと”
“その条件を満たし、俺についてきてくれる者”をな。」





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