ゼロの相棒
初めて会った時から、彼は私と向き合っていた。
誤魔化すことはあったけど、嘘をつくことは一度しかなかった。
その嘘も、ジェノバを殺してしまった私を傷つけないための優しい嘘だった。
ゼロが、相棒につけた条件も
最後の彼の優しさだ。
死んだとしても、
悲しむ者がいないように。
自分のような、孤独な思いを誰にもさせないように。
それが、“ゼロ”だった。
不器用な優しさでいつも私を包んでくれていたのはゼロだったのに。
でも、彼が相棒を探しに来てくれなかったら、私は貴方と出会うことはなかった。
ジェノバの死から、立ち直ることもできなかった。
あの闇町から、抜け出すことはできなかった。
私は、ゆっくりと天井を見上げて呼吸をする。
ゼロは、私にたくさんのものをくれたんだ
魔法使いを憎んでいた私に、初めて魔法の素晴らしさを教えてくれた。
この容姿を、綺麗だと褒めてくれた。
この髪の毛を、好きだと言ってくれた。
今まで一緒に過ごしてきた日々の代償が、私の心を締め付ける。