ゼロの相棒
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《ゼロside》
「んで、フィオネちゃんを放って来たのか?
しかも真実をありのままに語って?
……そりゃあ傷つくに決まってんだろ。」
俺の前で、幼馴染の青年が、はぁ〜とため息をつく。
「…でも、このまま何も言わずに騙し続けて死なせるわけにはいかないだろ。」
すると、ジンが俺の方に身を乗り出して
「いーや。今の方がよっぽど残酷だね。
」と答えた。
「逃げるにしたってここは東の最果ての地。…エドに送ってもらったんなら都市までの帰り道だってわからないだろ?
今ごろ泣いてるぜ?」
「……いや、俺が出てくる時にはもう泣いてたよ。」
俺は小さく呟いた。
確かに、ジンの言う通りかもしれない。
フィオネが、本当に現状に満足してくれているんだったら
いっそ真実を伝えないまま最果ての丘に行った方が、彼女の苦しみはなかったのかもしれない。
でも、俺にはそんなことをやる勇気なんてなかった。