ゼロの相棒
もし、帰り道がわかっていたとしても。
俺が決めた条件で勝手に連れてきたのに、生半可な優しさで今突き放してしまったら
帰るところなんてフィオネにはもう無いんだ。
都市まで帰れたとしても、俺の懇意にしているところには寄り付きたくも無いだろう。
俺のこと………嫌いになったよな………。
あんな裏切り方…したんだもんな。
ジンが、俺の方を見て言った。
「お前…フィオネちゃんに惚れたのか?」
その言葉に俺は、ドクン、と胸が鳴った。
「…なんでそんなこと聞くんだよ。」
俺が尋ねると、ジンはすべてを見透かしているように言った。
「星の町で会った時は“俺は相棒に特別な感情は持たない”とか言ってたくせに、
都市でレオにフィオネちゃんが口説かれてる時とか、昨日ドロシーに僕がフィオネちゃんの恋人だって言われた時、
明らかに嫉妬してただろ、お前。」