ゼロの相棒
頰につぅ、と涙が流れた。
何を考えていいかもわからない。
何が起こっているのかもわからない。
ただ、ジェノバは起きなかった。
ゼロが私に歩み寄る。
「フィオネ……あの」
ゼロの声を聞いた途端、何かがプツン、と切れた。
「あんたが………
あんたがジェノバを殺したって……?」
私はきっ、とゼロを睨む。
私をまっすぐ見つめ返すゼロに、私は感情をぶつけるように言い放った。
「やっぱり魔法使いなんてみんな同じね!不幸を呼ぶことしかできない種族!」
ゼロが、はっ、として私を見た。
私の言葉は止まらない。
「ジェノバはやっと薬が手に入って、これから一緒に治していこうって………。
…ありがとうって………言ってたのに」
掠れていく自分の声を聞いて、現実が心をボロボロにする。
私は立ち上がると、ゼロの体をドン、と押した。
よろめくゼロに、私は言い放った。
「出てって!!もう顔も見たくない!!魔法使いなんてもうこりごりよ!
いい人かもって……思ってたのに…。」
ゼロは私の言葉に反論することもなく、ただ、じっと私を見ている。
私はゼロを家の外へと押し出してバタン、と扉を閉めた。
「二度と来ないで!!」
私は扉に寄りかかり、ずるずると座り込んだ。
後から後から涙が流れる。
私は声をあげて泣いた。