ゼロの相棒
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あれから、私は何も考えずに町へ出た。
あてもなく、思考もなく、さまよい歩いた。
まるで、十一年前と同じように。
もう外は夜になっていた。
顔を上げると、薬屋の屋根が目にはいる。
ジェノバ……。
ごめんなさい……。
私が魔法使いなんかと出逢ったばっかりに。
薬屋を見たくなくて、私は横の路地へと入ろうとした
その時。
薬屋の主人の話し声が私の耳に入った。
「だから、さっきも言っただろ?銀髪の女だよ!
前に捕まえた時に魔法使いのガキに邪魔されて散々な目にあったんだ。」
どうやら、薬屋の主人と、町の人々数人が会話をしているらしい。
「だから、もうあの女がこの店に来ないようにしようと思って、何か案がないかどうか考えてたんだがね。
名案が浮かんだんだよ!」
私は胸の鼓動が速くなるのを感じた。
聞いてはいけない気がしたが、耳が主人の声から離れようとしない。
「奴にわざと猛毒が入った薬を盗ませたんだよ!
そしたらもう薬を使う人が死ぬんだから、ここへは来ないだろう?」
!!
………え………?
うそ……うそ………うそでしょう…?
私が盗んだ薬は………
…猛毒だったの…?
じゃあ、ジェノバは?
ジェノバはゼロが殺したんじゃなくて
私が………………………………?