ゼロの相棒
桜陣の魔法
『来た!……って、すっげぇ数!!』
ジンの驚いた声が聞こえる。
シャボン玉には、魔獣の群れが、すごい勢いでこちらに向かって来ているのが映し出された。
三十匹よりも多いような気がする。
『飛べ、ジン!襲われるぞ!』
その瞬間、シャボン玉の映像が地上から離れ出した。
どうやら、これはジンの見ている光景が映し出されているようだ。
ゼロの声が聞こえる。
『このまま一気に、丘の方角まで飛ぶぞ!丘に着いたら、そこで奴らをぶっとばす!』
ジンは魔力を放出しながら、魔獣達を町に近づけないように、遠回りで丘に向かっているようだ。
ゼロも魔力を溜めているらしい。
今のところ、私たちの思惑通りだけど…。
「順調にいけば、ゼロさん達は、二十分ぐらいで丘に到着できるでしょう。
私たちもナイトメアの地響きに備えて待機です。」
ドロシーの言葉に、私は深く息を吸った。