ゼロの相棒
“迷い”?
「フィオネちゃんと別れようとしてた時にお前はまだ“迷って”ただろう?
フィオネちゃんのことを、どうするか…。」
その言葉に、俺はピクリと反応した。
「………シャボン玉で向こうに筒抜けとかじゃないだろうな?」
「大丈夫だよ。今は僕たちの声は聞こえてないから。」
俺は、ジンの言葉を聞いて、改めて考え始めた。
確かに、俺は“迷って”いた。
本当に、フィオネを“容れ物”にして、元の姿に戻っていいのかって。
正直に言って、フィオネに対する罪悪感で俺は今にでも押しつぶされそうだ。
旅を続け、最果ての丘が近づくにつれて、その罪悪感はだんだん大きくなっていった。
俺は、フィオネの隣にいる資格なんてないんじゃないのか、って。
でも、フィオネはそんな俺の相棒でいてくれると言ってくれた。
それは、死を恐れないからではなく、未来を諦めたからという訳でもないような気がする。
フィオネの気持ちは分からないから、これは俺の憶測だけど……。
俺は、そんなフィオネを見て、もう心は決まっていた。