ゼロの相棒
その時、私の耳を誰かが塞いだ。
「もう聞くな。」
きらり、と見覚えのある黄金の髪が目に入る。
しかし、その姿はあの小さな少年ではない。
空は一面の闇だ。
私より大きな青年は、藍色の瞳をしている。
背中に感じる声は…。
「お前はいつも、ジェノバさんの為だけに生きてきた。自分の為に盗みを働いたことは一度もなかっただろう?
お前は汚くない。悪くねぇよ………。」
「ゼ………ロ……。」
涙が溢れた。
「ごめんなさい、ゼロ。
私、さっき…あなたにひどいこと……。」
「黙ってろ。」
ゼロは私を軽く抱きしめると私の前に立った。
その背中は前にここで見た、小さな“それ”では、すでに、なく。
私がすっぽり隠れるほどの大きなものだった。