ゼロの相棒




その時、私の耳を誰かが塞いだ。





「もう聞くな。」





きらり、と見覚えのある黄金の髪が目に入る。




しかし、その姿はあの小さな少年ではない。



空は一面の闇だ。




私より大きな青年は、藍色の瞳をしている。




背中に感じる声は…。




「お前はいつも、ジェノバさんの為だけに生きてきた。自分の為に盗みを働いたことは一度もなかっただろう?


お前は汚くない。悪くねぇよ………。」




「ゼ………ロ……。」





涙が溢れた。





「ごめんなさい、ゼロ。


私、さっき…あなたにひどいこと……。」




「黙ってろ。」





ゼロは私を軽く抱きしめると私の前に立った。




その背中は前にここで見た、小さな“それ”では、すでに、なく。



私がすっぽり隠れるほどの大きなものだった。





< 33 / 508 >

この作品をシェア

pagetop