ゼロの相棒
…………そういえば。
ゼロに初めて会って、一緒に闇町を歩いた時は、ゼロは、すたすたと歩いて私を置いてきぼりにした。
私が早足で歩かないとゼロの隣には並べなかったのに。
…今ではゼロの歩く速度は私と同じだ。
ゼロ…。
あなたは私に会って、何か変われた?
私は、あなたにふさわしい相棒でいられたかな?
元に戻れる方法がみつかって、ゼロが私をお払い箱にするのなら。
“容れ物”として使われた方がマシだ。
私は、ゼロのいない幸せより
ゼロの隣で不幸になる道を選びたい。
もし、方法が見つからなかったら。
私が言ってあげるんだ。
“私を使って元に戻って”って。
「どうした?」
ゼロが私の方を見て言う。
私は、「何でもない」と小さく呟いて
彼の隣で、にっ、と笑った。
*第4章・完*