ゼロの相棒
その時、ぎゅ、と私の手をゼロが握った。
私は、少し驚いてゼロを横目で盗み見る。
彼はいつものポーカーフェイスから表情を崩さない。
私は、彼から目をそらす。
私の心の声が漏れていたのだろうか。
それとも、不安な表情にゼロが気づいたのだろうか。
ゼロは、みんなには気づかれないような小さな声で私に囁いた。
「…心配すんな。…俺はフィオネの“相棒”だろ?何があっても死んだりしねぇから。
フィオネが危ない時は、絶対守りに来てやる。」
胸が、どきん、と鳴った。
ゼロの声は、いつもより優しくて。
それでいて強い。
ゼロは握る手の強さをぐっ、と強くした。
まるで、私を安心させるかのように。
ゼロの手は、温かくて。
私は黙って、こくん、と頷いた。
「……待ってるから。」
私は、小さく彼に呟いた。
ゼロは、私の横で少し顔を赤くしたような気もしたが
私は彼の顔をまっすぐ見ることもできず
そのまま、二人は黙ったまま手を繋いでいた。