ゼロの相棒





「俺が町を回っているうちに、弟の病状はどんどん悪化していった。

ついには、喋ることも出来なくなってしまったんだ。


そんな時だった。


ダリシーンの息子が俺の弟と同じ病にかかったが、ダリシーンが魔法で治したらしい、という噂を城下町で聞いたのだ。」





ルークくんが…?



魔獣に襲われて病気になるなんて。






……ルークくんは五年前から城の外に秘密で遊びに行っていたんだ。






「それで、俺が弟の待つ町へと戻った時、幸運なことに、ダリシーンが公務で丁度俺の町に来ていたんだ。


これは、運命だと思ったね。


神さまは、俺の弟を救ってくださる、って。そう思ったよ。


俺はすぐさま、ダリシーンの元に駆け寄って、弟を救ってくれるように頼んだんだ」











だが………。と、ルナータは一気に表情を変えた。








それは、憎しみ以外の何もないような顔だった。



まるで、ダリシーンへの強い恨みが、彼の魔力を闇で包んでいるようで……。





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