ゼロの相棒
その言葉に、この場の全員が絶句する。
……フィオネに大罪の片棒を担がせるつもりか?!
フィオネはまだ自分自身の魔力を放出したばかりで、自由に使いこなせる訳じゃないのに…!
「丘に動きはないのか?…ルナータなら、今すぐにでもフィオネさんを利用して封印を解きそうだが…。」
ブラッドがドロシーを見ながら言った。
ドロシーは、難しい顔をして答える。
「たぶん、ルナータはここじゃない空間にフィオネさんを閉じ込めているんだと思う……丘には全く反応がないわ。」
…向こうにフィオネが捕らわれている以上ヘタに手出しをする訳にはいかない。
奴のことだ。
フィオネを人質のようにして使ってくるだろう。
「丘の近くに寄り過ぎても、警戒して奴が出てこない可能性がある。
今は塔のてっぺんから丘を見張って、奴の動きが見えるまで待つしかない。」
ブラッドがもどかしいような険しい顔をしてそう言った。
……フィオネ…。
お願いだから、無事でいろ……!
《ゼロside終》