ゼロの相棒
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休憩を挟みながら歩いていると、ゼロがふと、私に話しかけた。
「なぁ、本当に魔法を解いて良かったのか?」
ゼロの言葉に私は笑って頷く。
実は、私たちが闇町を出る時、青年ゼロのかけた、時を止める魔法を解いてきたのだ。
「あの夜のことは今でも許せないけど、あの町にも正しく懸命に生きている人もいるし。」
私は続ける。
「私のやってきたことは、ジェノバを助けるためだとはいえ、やっぱり悪いことだったと思うから…。
あの町の人にも迷惑をかけた。
ジェノバの死は、私が招いたことだと思う」
お人好しだな、とゼロは少し呆れたようにこちらを見た。
「あれだけ大切に思ってた家族を殺されたんだぞ?」
ゼロの言葉は私の胸に深く突き刺さったけれど
もう起こってしまったことなら仕方がない。
「時を巻き戻す魔法とかはないの??」
私はゼロに尋ねる。
「できたら俺がやってる。国じゅうを探せば一人ぐらいはいるかもしれないけど。
人を生き返らせたりすることは禁忌だからな。」
禁忌か…。そうだよね。
「そういえば、力のある魔法使いは禁忌とされていることがたくさんあるって、ジェノバから聞いたことがあるわ。」
私の言葉にゼロが続ける。
「まぁ……。そうだな。」
ゼロは少し言葉を濁した。
私は声のトーンが低くなったことに気づいてはいたが
あえて追求はしなかった。