ゼロの相棒
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「フィオネさん!」
ジェノバとは違う声に名前を呼ばれ、目を開けると
そこは、月の塔のドロシーの部屋にある
ベッドの上だった。
私の瞳を見た瞬間。
ベッドの横に立っていた、ジンとドロシーが安堵の表情を浮かべる。
「フィオネちゃん!!
よ……よかった………!本当によかった…!
大丈夫かい?自分のこととか、わかる?」
「フィオネさん………!よかったぁ…」
ドロシーが泣きながら私に抱きつく。
私は二人の顔を交互に見て、笑顔を見せた。
「大丈夫よ。…記憶喪失とかもないし、
体も異常はないわ。」
さらに声をあげて泣くドロシーの頭を優しく撫でる。
ジンが、そんな私を見て言った。
「本当に奇跡が起こったね…。
フィオネちゃんにまた会えるなんて、
夢みたいだ。
……よく頑張ったね。」
私はジンに、今までの経緯を聞く。
最果ての丘で意識を失った後、私はすぐにこの塔に運ばれて、一週間も眠ったままだったらしい。