ゼロの相棒
聞いたこともないような声が聞こえ漏れる。
「……は…。」
ゼロが小さく息を吐いて、私から離れた。
「……フィオネ。…約束、覚えてるか?」
……約束?
私が不思議そうな顔をすると、
ゼロは優しくささやいた。
「……一緒に国中を旅をするって約束。」
!
それを聞いて、私は、「もちろん。」と
答える。
すると、ゼロはゆっくり私を抱き起こすと
再び優しく抱きしめた。
私は、ゼロの耳元でささやく。
「ゼロ。…あなたと旅をする条件は何?」
ゼロは、ぎゅっ、と腕に力を込めて答える。
「……俺から絶対離れないこと。」
私は、それを聞いて、ゆっくりとゼロの
顔を見上げる。
「ゼロ…私を連れて行って?」
ゼロは、ゆっくりと立ち上がる。
そして、座り込む私を置いて、歩き出した。
黙って背中を見つめていると、
ぴたり、と足を止める。
そして、ぱっ、とこちらを振り返った。
「置いて行くぞ、相棒!」
私が、にっ、と笑いながら
「うん!」と叫ぶと
冬の青空に、季節外れの花びらたちが
ざあっ!と舞い上がった。
最果ての地から、私たちの新たな旅が始まったのだった。
*fin*