ゼロの相棒
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私たちが服を買って店を出ると、外はもう夜になっていた。
夜空には無数の小さな星がきらめく。
「そろそろ今日の宿を探すか。確か、この先の路地にあったはずなんだけど。」
ゼロが辺りを見渡しながらそう言った。
私はゼロに続いて歩く。
細い路地に入ると、そこは大通りとは違う、静かな時が流れていた。
路地はアリの巣のようにいくつにも分かれていて、それぞれが違う方向に迷路のように伸びていた。
歩きながら、わきに続く路地に目をやる。
すると、私は目を疑った。
そこには、屋根や壁が壊された住宅や、爪痕のようなものが残された道路がたくさんあった。
「これは魔獣の仕業だな。この町は度々被害にあってるみたいだ。」
ゼロが私の前を歩きながら言う。
魔獣か……。
確かにここに来るまでの森には、魔獣がたくさん住んでいるようだった。
そこからやってくるのだろうか…。
人間も襲う、とゼロは言っていた。
この町は、魔獣に怯えた生活を送っているのだろうか。
そう思うと、私は闇町にいた時とは違う恐ろしさを感じた。