ゼロの相棒
すると、すべての魔力がふっ、と消え
町が静けさに包まれた。
その時、町に一人の青年の声が響く。
「おーい、ゼロ!
挨拶もなしで行っちゃうのか?相変わらず無愛想だね。
その子はお前の女?」
声とともに辺りの張り詰めた空気が一気に緩む。
声のする方に目をやると、人だかりの中心に一人の青年がいて、こちらを向いて手を振っていた。
「行くぞ。フィオネ。」
ゼロは我、関せず、といった調子で今度は私の手を取って再び歩き出す。
すると、さっきまで十メートルほど遠くにいたはずの青年が、空から私たちの前に舞い降りた。
「ったく、冷たいなぁ!久しぶりに会ったっていうのに。
ずっとお前のこと探してたんだぞ!」
私が驚いて彼を見ると、青年の方も私をまじまじと見つめた。
「ゼロにはもったいないぐらいの美人だね。
あ、でも元に戻ればお似合いかも。」