ゼロの相棒
私がなにを言っていいやら困っていると、ゼロが青年の方をじろり、と睨んだ。
「今朝の魔力はお前だな?ジン。」
ゼロに“ジン”と呼ばれた青年は澄ました顔でいる。
「あれ?気づいてたんだ?」
ジンの言葉にゼロが
「当たり前だろ!あんな大量の魔力放出しといて!!今もだけど、一体こんなとこでなにやってんだよ?」
と軽く怒鳴った。
ジンは髪の毛を軽くかき上げながら答える。
「いやぁ、“あの日”以来、姿を消したお前の魔力を最近感じてさ。
追ってきてみたら魔族狩りに絡まれたんだよ。」
あ、大丈夫。軽く、ノしただけだから。殺してないから!
と、ジンは続けた。
私は二人の会話を聞いて、ゼロに尋ねる。
「ゼロ、知ってる人?」
私が口を開くと、青年がぐりん、とこちらを向く。
「やぁやぁ、初めまして。
僕の名はジン。呼び捨てでいいよ。
ゼロとは、こーんなちっさい頃からの仲でね。僕はゼロより二つ年上なんだ。」
ジンは、“こーんな”と言ってはいるが、親指と人さし指で表されたサイズはほんの十センチほどしかない。
「ただの幼なじみ。
別に覚えなくたっていいぞ、フィオネ。」