ゼロの相棒
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「僕たちは都市にある城下町で出会ったんだよ。」
私たちはジンの部屋へと到着すると、三人丸くなってカーペットの上に座った。
「もう一人、僕と同い年のラグナっていう女がいるんだけど、三人でよく遊んだよな。」
ジンが懐かしそうに言う。
「ラグナか…。あれから会ってないな。」
ゼロがぼーっと上の方を見つめながら
ぽつり、と言う。
「お前が姿を消したとき、あいつ泣きながら町中走り回ってたぞ。
最初の頃は魔力を使い果たして寝込んでたし。」
ラグナさんも魔法使いなんだ。
女性だから、魔女っていうのかな。
ラグナさん…ゼロのこと大切に想っていたのかな。
「ラグナが強そうに見えて繊細だってこと、お前はよく知ってるだろ?
一回顔を見せてやれよ。」
私の知らない世界が、彼にはある。
もちろん、秘密にしていることも。
そう思うと、急にゼロが遠く感じた。
「お前、まだ都市に行くのを避けてるのか?
その様子だと、グランさんにも会わないつもりなんだろ?」
どんどん私の知らないことがジンの口から語られていく。
知らない名前も出てきた。