ゼロの相棒
その時、ゼロがすくっ、と立ち上がった。
「マリーさんに金払ってなかった。」
急にそう言うと、ゼロはスタスタと部屋を出て行ってしまった。
「……ゼロのやつ。逃げたな?」
いつもあいつは肝心なことになると追求を逃れようとするんだ。
そう言って、ジンが私の方に向き直る。
「フィオネちゃん…。ちょうど二人きりだから聞くけど…」
蒼瞳がまっすぐ私を見つめる。
「ゼロのこと…。どこまで知ってるの?」
ジンの言葉に私は少し動揺する。
私は、私と会うまでのゼロのことを、まったくと言っていいほど知らない。
唯一知っていることといえば
ゼロは今の国王に悪い魔法をかけられて
、少年の姿にされてる十八歳の青年だってことぐらいだ。
私はジンにこのことを話すと
彼は少し困ったような顔をして言った。
「じゃあ…フィオネちゃんは、ゼロの旅の本当の目的を知っているわけじゃないんだね。」