ゼロの相棒





その時、ゼロがすくっ、と立ち上がった。





「マリーさんに金払ってなかった。」





急にそう言うと、ゼロはスタスタと部屋を出て行ってしまった。





「……ゼロのやつ。逃げたな?」





いつもあいつは肝心なことになると追求を逃れようとするんだ。




そう言って、ジンが私の方に向き直る。






「フィオネちゃん…。ちょうど二人きりだから聞くけど…」






蒼瞳がまっすぐ私を見つめる。









「ゼロのこと…。どこまで知ってるの?」








ジンの言葉に私は少し動揺する。







私は、私と会うまでのゼロのことを、まったくと言っていいほど知らない。







唯一知っていることといえば




ゼロは今の国王に悪い魔法をかけられて
、少年の姿にされてる十八歳の青年だってことぐらいだ。






私はジンにこのことを話すと


彼は少し困ったような顔をして言った。








「じゃあ…フィオネちゃんは、ゼロの旅の本当の目的を知っているわけじゃないんだね。」







< 72 / 508 >

この作品をシェア

pagetop