ゼロの相棒
過去と禁忌
「ほら、見えるかな?あれが本当に少年だった頃のゼロだよ。」
ジンが指を指すと、ぼんやりと見えていたものが、だんだんと鮮明に映っていく。
そこには見慣れた黄金の髪の毛をした少年がいた。
その隣には、漆黒の髪の毛をした少年と、薔薇色の瞳の少女がいる。
あれはジンと、…ラグナさんかな?
ジンが微笑みながら静かに言う。
「この頃、僕らは出会ったばかりでね。
ゼロは都市の外れにある森の中の小屋に住んでいたから、よく三人で森に入って遊んだんだ。」
映像を見ていると、そこに険しい顔つきの六十代ぐらいのおじいさんが出てきた。
おじいさんは杖を振り回して、子ども達を追いかけている。
「彼が、ゼロの育ての親、グランさん。
怒ると、とっても怖いんだよ。
でも魔力はとてつもなく強くて、城で働いてたこともあったんだ。」
映像の中の四人は楽しそうに笑っている。
「なんだか微笑ましいわね。
この人から生まれたのなら、ゼロの魔力が高いのも納得できるわ。」
私の言葉を聞いて、ジンは顔をしかめた。
「いや、グランさんは、ゼロの本当の親ではないんだよ。」
え…?
「ゼロはここで生まれたんじゃないの?」
私が顔を上げてジンを見ると、彼はカーペットの上の思い出を見ながら口を開いた。