ゼロの相棒
「マリーさん、宿のお客さんに外へ出ないように伝えて下さい。
あと、念のため逃げる準備も。」
ジンの指示に、マリーは急いで部屋を出て行く。
私もジンについて行こうと立ち上がった時、ジンが私の行く手を制した。
「フィオネちゃんも、危ないからここにいるんだ。」
私は驚いてジンを見上げる。
「大丈夫よ!私も町の人たちの避難の手伝いとかなら出来るわ!」
私は、ぐっと手を握ってジンに訴えた。
私もゼロの相棒だ。こんな時に役を立たないで、私は何の為の相棒なんだろう。
私の心中を察したのか、ジンがはぁ、と息を吐いた。
「…仕方ないな。
でも、ゼロと合流するまでは、僕のそばを離れちゃダメだよ」
ジンは持っていた短剣を私に渡した。
護身用だろうか。
私は武器など使ったことがない。
もちろん魔法もだ。
とにかく、足の速さでカバーするしかない。
私はジンの言葉に頷いて、彼と共に部屋を出て行った。