ゼロの相棒
「じゃあ魔法をかけ始めるよ!準備はいい?」
ジンは上空に向けて手を突き出した。
蒼瞳が輝き出して、体中から蒼い色の光が放たれる。
その光があっという間に町中を包んでゆく。
「魔獣は路地裏だ。頼んだぞ、フィオネ!」
ゼロが剣に魔力を貯めながら私に言う。
私は大きく頷くと、路地に向けて大通りを走り出した。
町の東側から魔獣のもののような大きな雄叫びが聞こえる。
確か、あの方角はマリーさんの宿屋の方だ。
私はさらに速度を上げて小道に入った。
この町に初めて来た日も思ったが
やっぱりこの町の路地は迷路のように入り組んでいる。
私は魔獣の足音を頼りに進んで行く。
すると、突然目の前に
家一軒分ぐらいの大きさの影が見えた。
驚いて上を見上げると、鋭い爪と牙が生えた獣がこちらをギロリと睨んでいる。
ジンと宿屋の窓から見た魔獣だ!!
そう思った瞬間、魔獣が大きな爪を私に向かって振りかざした。
私はとっさに脇道に滑り込む。