ゼロの相棒
「あぁ。久しぶりに魔力が高まってるよ。」
聞きなれない声に心臓が高鳴る。
目の前の青年は、今まで一緒に旅をしてきたゼロであるが、ゼロではない。
「体力はもう回復したの…?」
ゼロは、私をじっと見つめた。
私も、彼の藍色の瞳から目が離せない。
すると、彼はわたしの問いかけに無言で頷いて
そして私に言った。
「…ジンから何か聞いた?」
ゼロの言葉に、私は素直に頷く。
「ゼロの過去のこととか……色々聞いたよ。」
ゼロは少し眉を動かした。
ただ、ゼロは動揺した様子も見せずに静かに私の後に続ける。
「俺の旅のことは……?」
私は頭を横に振った。
そうか…とゼロは目線をそらす。
「俺の生い立ちを知って…どう思った?」
ゼロのいきなりの問いかけに
私は少し返事をためらう。
簡単に“かわいそうだ”なんていう言葉でまとめられるほどの感情ではない。