ゼロの相棒
「今でも…ダリシーンの事、憎いと思う…?」
私の問いかけに、ゼロは少し黙ってから答える。
「確かに…許さないとは思うけど…。
俺はフィオネに会ってから少し考え方が変わったかもな。」
え?
ゼロの言葉に私は問いかける。
「それってどういう意味?」
「…ジェノバさんが死んだ時の事……。
許せないことをされたはずなのに、フィオネは憎しみに包まれたりしなかっただろ?」
そう言われて、私はハッとする。
私は自分自身で知らない間に
ゼロの助けになっていたのか。
「私だって、ゼロがいてくれたから。ジェノバのことも、乗り越えて来れたんだよ。」
私は、ゼロをまっすぐ見ながらそう答える。
私の中で、気づかないうちに
ゼロの存在は大きなものになっていたんだ。
助けてくれたあの日から。
私に泣くための背中を貸してくれたあの夜から
ゼロはずっと、私の隣にいてくれたんだ。
その時、ゼロが私の方を振り向いた。
どきん、と胸がなる。
「フィオネ。もっとこっちに来て。」