ゼロの相棒






「今でも…ダリシーンの事、憎いと思う…?」




私の問いかけに、ゼロは少し黙ってから答える。






「確かに…許さないとは思うけど…。


俺はフィオネに会ってから少し考え方が変わったかもな。」





え?





ゼロの言葉に私は問いかける。





「それってどういう意味?」





「…ジェノバさんが死んだ時の事……。

許せないことをされたはずなのに、フィオネは憎しみに包まれたりしなかっただろ?」





そう言われて、私はハッとする。




私は自分自身で知らない間に
ゼロの助けになっていたのか。





「私だって、ゼロがいてくれたから。ジェノバのことも、乗り越えて来れたんだよ。」





私は、ゼロをまっすぐ見ながらそう答える。





私の中で、気づかないうちに

ゼロの存在は大きなものになっていたんだ。




助けてくれたあの日から。




私に泣くための背中を貸してくれたあの夜から



ゼロはずっと、私の隣にいてくれたんだ。






その時、ゼロが私の方を振り向いた。




どきん、と胸がなる。








「フィオネ。もっとこっちに来て。」








< 95 / 508 >

この作品をシェア

pagetop