ゼロの相棒
ゼロが、まっすぐと私を見た。
藍色の瞳はほのかに色味を帯びている。
自分でも、今までに感じたことのない速さで心臓が鳴っているのがわかる。
私はゆっくりとゼロの方へ近づいていく。
近づくほどにわかる。
いつもとは違う、ということが。
彼の目線はいつも私の下にあるが、今は私より少し上だ。
青年ゼロの顔を初めて正面から長い時間見つめる。
私はゼロと1メートルほど離れたところで立ち止まった。
「フィオネって案外ちっちゃかったんだな。」
ゼロはそう言って私に近づくと
そのまま無言で抱きしめた。
「強く抱いたら折れそうだ。」
いつもとは180度違うゼロに、私はどう接していいかわからない。
「…ゼロ?間違えてお酒でも飲んだの?」
私は彼の顔を直視できずに言った。
「…別に。酒なんか飲んでないよ。」
ゼロは澄ました様子で言う。
「どうして…?いつもと違うよ……?」
私の言葉に、ゼロは答える。
「…違うって…どこが?」