ゼロの相棒
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次の日、身支度を整えた私たちが部屋を出ると
昨日ジンが言っていた通りに、すでに彼は宿を出発していた。
フロントに降りると、マリーさんがこちらを向いて、驚いたようにズカズカ、と近寄ってくる。
「あなた達、怪我はもう大丈夫なの?まだゆっくりして行っていいのよ?
お金はもらわないから。
この町を救ってくれたこと、本当に感謝してるわ。」
私は、マリーさんに笑い返して答える。
「もう、すっかり元気になりました!無料で泊めてもらって、ありがとうございます。」
マリーは、いいのよ!それぐらい!
と、私の肩を抱く。
「これからも、旅に疲れたらいらっしゃい!恩人の二人とジン君は特別価格で泊めてあげるよ!」
マリーはにっこりと優しく笑って私たちを見た。
マリーの言葉に体の奥から熱いものが込み上げてきて、ふいに涙が出そうになる。
私は、温かいこの町の人に触れて、なんだか別れが悲しく感じる。
「フィオネ。じゃあそろそろ行くか。」
宿屋を出てから、町の入り口の門のところまで来ると
ゼロは荷物を抱えたまま、私の方へ振り向いた。
少年は、昨日のことなどなかったように、けろっ、としている。
私は、ゼロの相棒でいられることにとても感謝している。
私はそれで十分だ。
私は、こくん、とゼロの言葉に頷いて
町の門をくぐった。
それは、二人の旅の再開の一歩だった。
*第2章・完*