叶ったはずの恋。





「中ちゃん!!

相変わらず陸上部の顧問やってんの??」



『まあな!!

お前、いつ帰ってきたんだよ??』


あたしと中ちゃんは廊下を歩く。



「今さっき帰ってきたばかり。

ちょっと用事があったから、学校来たんだ。」


ふ~んと、言いながら中ちゃんが頭に巻いたタオルを取った。



『じゃ、今度またゆっくり話そうな!!』


職員室の前に着くと中ちゃんは入って行ってしまった。




やっぱり3年前と今じゃ、いろんなところが変わってる。




図書室も、教室も、全然違う。


辺りを見渡しながらゆっくりと階段を昇って行く。



1段1段に時間をかけて昇るのは、あたしが怖がりだから。




屋上に早く行きたい気持ちがあるのに、


行きたくない、と言う気持ちもある。



そのせいで足が遅くなってしまうんだ。



いつからこんな風になってしまったんだろう…


きっとあの日からだ。


あの日以外はありえない。







…………………卒業式






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