叶ったはずの恋。






『桐島先生は今、ある島にいる。

……………3年前から』


3年…前…?

それってあたしたちが卒業したあと…ってこと?



『桐島先生は夏希にだけ言わなかった。

3年後、屋上で逢えるから、だから…言わなかった。


ただ…3年経っても桐島先生は戻ってこなかったんだ。


だから夏希は俺のモノ…

そうなる…そうなると信じてたのに。


なのに、それなのに夏希のキモチは桐島先生一直線で。

あの頃と何も変わっちゃいなかった。


3年前、まだ夏希が中学生だった頃と何も変わっていなかった。


俺の入る隙間なんてまったくなくて。

割って入っても俺はすぐに邪魔者だ。


最悪だ…最悪だよ。

こんな屈辱は大学で石原に負けたとき以来だ。』


石原…県大会で負けた学校のソフト部の顧問。

そして、大ちゃんの永遠のライバル。


大学のとき、1人の女の人を巡って争ったらしい。



『今まで俺が声をかけて落ちなかったのは石原の嫁さんとお前だけ。

今まで俺が本気で好きになったのは、慶子と…夏希だけだ。』


大ちゃんの腕が肩に回る。

でもドキドキしなかった。


最低だ…あたし










< 100 / 132 >

この作品をシェア

pagetop