叶ったはずの恋。





「どうして謝るの?」


なんだか無性に腹ただしくて。

でもなぜか涙が溢れそうで。


意味分かんないよ…あたし



『………ごめん』


桐ちゃんはまた謝る


バカ…!

桐ちゃんのバカ!!



「……答えになってないじゃん

だいたい、桐ちゃんだけじゃないんだからっ…」


桐ちゃんの肩に額をつける。

ひどくブサイクになってしまった顔を隠すために



「ソフトやってるときも
陽菜と話してるときも
授業受けてるときだって、ずっと心が淋しかった。


どんだけ練習したって満たされなくて。

寝る前には必ず桐ちゃんの顔が浮かんで。


バカみたいだな…って思いながらも思い出さずにはいられなくって。


だから…桐ちゃんだけじゃないんだもん

心に大きな穴が空いてたのは。」


気づくと屋上の地面に涙の跡がついていて。

ダサイな…あたし






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