叶ったはずの恋。





◆仁目線◆



「夏希…行きましたね。」


陽菜ちゃんが俺に話しかける。




『うん。いるのかな…』


俺は遠くを見つめる。


夏希。


もし…もし、桐ちゃんがいなくても桐ちゃんを恨むなよ。

桐ちゃんはお前を想って行っちゃったんだ。


だから、いなくても絶対恨んじゃいけないんだから。




『夏希は、知らないんだよな』


俺と陽菜ちゃんの向かいに座っている陸が呟く。



「あ、あの!

夏希さんって、散歩行ったんじゃないんですか?」


俺たち3人の醸し出す空気を読んだのか朝子ちゃんが聞きにくそうに口を開いた。



『アイツは、学校に行ったんだ。』


俺が代表で答える。



「言えないことだったらいいんですが、どうしてですか…??」




『桐ちゃんに会いに行った。

3年前の今日、アイツは約束したから。』


桐ちゃんと夏希は、約束したんだ。





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