叶ったはずの恋。

「じゃ、みんなまたね!!」


「じゃーね!!」


陽菜とあたしは高校の友だちに手を振る。


そして大きな荷物を抱えて新幹線に乗り込んだ。


席に座るとまだ外にはみんながいて、手を振ってくれている。


あたしも陽菜も手を振り返す。


陽菜…前田　陽菜(ﾏｴﾀﾞ ﾋﾅ)

中学校で出逢い、高校も同じところへ行った。

ちなみにソフトボール仲間でもある。



『まもなく発車します』


と、アナウンスがかかり扉がしまった。


高校の友だちとは春休み明けにまた逢う。

大学は附属のところに行く予定だからね。



「陽菜、まず帰ったら何やる??」


新幹線が進みだすと早速、ゲームを始めた陽菜。

最近の陽菜はゲームにハマっている。


あたしからしたら、今ごろ?!って感じ。



「まずは…家に帰る!!

んで、寝る!!」


ね、ね、寝るって…。


あ、でもあたしも用事がなかったら寝るかもしれない。


「夏希はどうするの??」

あたし…海道　夏希(ｶｲﾄﾞｳ ﾅﾂｷ)

昨日、高校を卒業したばかりの18歳。


今日は久しぶり…３年ぶりに家へ帰る。


あたしと陽菜はソフトボール強豪校に行くために

実家を離れ、上京した。


そして高校生活、１度も家に帰らなかったんだ。