叶ったはずの恋。
思い出探検
「ただいま」
玄関のドアを開けたと同時にリビングのドアも開く。
『夏希!!!』
兄貴が走って来る。
「説明はするから。
だから、リビング行こ」
あたしは兄貴を避けて、リビングに入った。
陽菜も陸も、朝子ちゃんまでもがあたしを心配そうに見ている。
『で、夏希。
桐ちゃんは…??』
1度、たっぷりと息を吸い込んだ。
そして
「桐ちゃんはいなかった」
と、答えた。
4人とも、ただ黙ってあたしの顔を見つめるだけで。
そんな空気がたまらなくイヤだった。