叶ったはずの恋。
「そんなのおかしいよ!龍先生!!
龍先生がうちの学校に来たのは3年前でしょ?!
ってことは3年より前の生徒に謝ってたの?!
海に向かって?!」
意外にも追及は厳しく、俺はどぎまぎしていた。
確かに女生徒の言う通りだ。
3年以上前の生徒の名前を呟いて、謝る。
これだけでもおかしいのに、
それプラス海に向かって、なんて。
何かあるように見えて当たり前か。
『龍先生ってホントに彼女いないの?』
男子生徒が首を傾げる。
今、俺の周りには数十人の生徒がいる。
みんな中学生だ。
ちなみに全員ソフトボール部
俺が赴任して来てすぐにソフトボール部を作った。
最初は5人くらいしかいなかったが、気づいたらこんなに増えていた。
『いねぇって言ってんだろ?』
もう何回も聞かれている。
彼女いないの?って。
夏希は、彼女じゃない。
彼女だったら嬉しいけど、でも違う。
『そんなのおかしいって!!
都会の人は見る目ないよな』
一人の生徒がそう言うと周りのやつは頷く。
おい、お前ら。
勝手に何言ってんだよ?
見る目ないとかさ…