叶ったはずの恋。
「あのさ、陽菜。
1つだけ聞いてもいい??」
「うん、なに?」
ずーっと、ずっと疑問だった。
「なんで兄貴が好きなの?
あんなヤツのどこがいいのさ?」
陽菜が兄貴のことを好きだって知ったときから抱いてたこの疑問。
なかなか聞くチャンスがなくて今まで聞けなかった。
この際、聞いてみよう!
「仁さん、格好いいじゃん。
外見も中身も。
あんな人、なかなかいないと思う。
夏希はラッキーだと思うよ。
仁さんみたいな格好いいお兄ちゃんがいるんだもん。
優しくて、格好いい、お兄ちゃんがね。」
陽菜の笑顔は恋する乙女だった。
兄貴もさっさと陽菜に告白すればいいのに。
妹が気づくくらい、兄貴の恋心は見え見えだ。
それなのに未だに陽菜に告白できない兄貴。
正直、情けない。