叶ったはずの恋。
「京香さんと付き合うことになった兄貴は
今まで繋がってた女の人を全部切った。
もう逢えない、
って一言言って携帯の電話帳からも消して。
何人兄貴のせいで泣いた人がいるか分かんないけど…
とにかく兄貴は京香さん一筋だった。
何十股もしてた兄貴がだよ?
それから順調に交際は進んで、半同棲までいった。
それが京香さんが大学1年。
兄貴が高校2年のとき。
ホントに並んで歩いたら誰もの目を引くくらいお似合いで。
妹が言うのはおかしいけどね」
街でたまたま見かけたときは、ビックリした。
京香さんはもっと色っぽくなってて、すごくキレイで。
兄貴はあたしの兄貴なのにものすごく遠い人に見えて。
そんな兄貴がちょっと自慢だった。
「ただ、幸せは長く続かないものなんだよね。
別れは突然だった。」
そう。ホントに突然で。
いつものように学校から帰るとなぜか兄貴がいて。
すぐに分かった。
「兄貴と京香さんは別れたんだ、って。」