叶ったはずの恋。
『俺、言ってやったよ。
「俺1人の人を愛すことにした」
って。
で、慶子が誰?って言ったから答えてやった。
「慶子…お前だよ」
って。
そしたらさ、慶子泣き出しちゃって。
あとで聞いたんだけど嬉しくて泣いたらしいんだ。
慶子と俺は3年くらい付き合ってたんかなぁ…
ある日、慶子と連絡取れなくなって。
俺は慶子の家に訪ねて行った。
アイツ、アパートに独り暮らしで。
インターフォン押しても出て来ないんだ。
でも、部屋の電気がついてて。
何かあったんだ、って思った。
いくら待っても出てきてくれなくてさ。
毎日家を訪ねた。
どれくらい通ったんだろ…
2週間くらいかな?
家の表札が取れてて、管理人さんに聞いたら
「今日、引っ越しされましたよ?」
とか、言われちゃって。
俺、訳分かんなくて慶子の実家まで行ったよ。
で、なんて言われたと思う?』
分からなくてあたしは首を振る。
大ちゃんは苦しそうに顔を歪めて言った。
『もうあなたには逢いたくない』