叶ったはずの恋。
『ビックリしたよ…マジで。
意味分かんねぇだろ?
突然、逢いたくないとか言われても。
だいたい本人からじゃなくて、親だぞ?
俺が初めて本気で愛した人なのに。
涙が枯れるまで泣いたんじゃねぇかな?
大学も1週間くらい休んでさ。
久しぶりに大学行ったら、入り口のところに慶子の親友がいんの。
で、久しぶりに講義受けようと思ったのに、その子に連れ去られて。
俺、何がなんだか分からなくてずっとパニックだった。』
フッと大ちゃんが笑った。
きっと、そのときのことを思い出したんだろう。
でも、そこって笑うところじゃないよね?
ふと大ちゃんの顔を見ると、案の定と言うか辛そうな顔をしていた。
『俺…彼氏なのに慶子に何もしてやれなかった。
慶子の親友から聞いた話。
俺、あまりに自分が情けなくて言葉も出なかった。
「慶子はレイプされた」…』
大ちゃんが机に伏せる。
その背中が少しだけ震えていた。