叶ったはずの恋。





『一目見た瞬間にアウト

俺はお前を好きになってた。


自分で慶子以上に好きになれる人が出てくるなんて思ってもみなくて。


でもさ、出逢った瞬間なんて夏希はまだ慶子以下で。


やっぱり慶子以上に好きになれるワケないのか…

って、出逢ったすぐなのに諦めてた。


なのに、夏希と一緒にいるうちに慶子より夏希のことを考えてる時間が増えてきて。


誰よりも格好良くて

誰よりも大人なお前が好きで。


我慢できないほどになってた。


それで、今に至る』


そう言った大ちゃんはあたしから離れた。



『俺、もう失いたくないんだ。

大切な人を。』


大ちゃんはあたしの頬を優しく包み込む。

そして大ちゃんの顔が近づいて来た。


このシチュエーション知ってるよ?


あたし、ドラマで見たことある。


多分…奪われる。

あたしのファーストキスが



今ここで、キスをするべき?

しないべき??


あたしが本当に好きなのは桐ちゃん。

でも、桐ちゃんを想い続けてもあたしは前に進めない。


前に進むためには…ここでキスするべきだよね?


決めた。

ごめん…大ちゃん


こんな中途半端で。






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