叶ったはずの恋。
あたしは静かに目を閉じた。
『俺、束縛とか結構しちゃうかもよ?』
目を開けるとニヤッと笑った大ちゃんがいて。
あたし…ファーストキス、奪われました。
これが本当によかったのか、あたしには分からない。
だけど、してしまったものはもうどうしようもないんだ。
「上等だよ。」
なんて笑い合っていた。
あたしの中には、少しの罪悪感があったけど。
これから、好きになっていけばいい。
うん、そうだよ。
好きになれば何も問題はないんだ。
「じゃ、そろそろ帰るね」
あたしは立ち上がり歩き出そうとした。
そうすると
「…大ちゃん??」
大ちゃんに腕を掴まれた。
『あ、ごめん。
なんでもない』
大ちゃんは急に手を離して苦しそうに微笑んだ。
『気を付けて帰れよ』
そんな大ちゃんに背を向けてあたしは歩き出す。
どうしたんだろ…大ちゃん
そんなことを思いながらあたしは母校をあとにしたのだった…