叶ったはずの恋。
『ただ、1回だけすっげぇ大げんかしたんだ。
まあそれが原因で別れたワケではないんだけど…
それでな?そのケンカの原因なんだけど…
俺、覚えてないんだ。
多分、すっげぇーくだらないことだったんだと思う。
それで2人ともいろんなことが溜まってて八つ当たりしちゃったんだろうな。
俺、これでも結構嫉妬深いんだ。
元カノと付き合って判明したんだけど、
ただの友だちだ、って分かってても元カノが俺じゃない違う男と楽しそうに話してるの見ると
すげぇ苦しくなるんだ。
1度だけ告白されてるところ見ちゃってさ。
そんときはどうしようもないくらい苦しかった。
でもそんなこと、格好悪くてそのときは言えなかった。
けど、その大げんかしたときつい言っちゃったんだよ。
『俺以外の男と楽しそうに喋ってんじゃねぇよ!』
って。
バカだよな、俺。
ただの彼氏なのにそんなこと言える立場じゃねぇじゃん。
それは十分承知してたはずなんだけど。
言ったあとに後悔した。
俺…何言ってんだろ、
って。
そしたら元カノ、なんて言ったと思う?』
瑛司は分からない、と言わない変わりに首を横に振る。
俺はフッと笑って言った。
『元カノ、顔真っ赤にして
「龍貴だって女の子と楽しそうに喋ってるじゃない!』
って言ったんだ。』