叶ったはずの恋。
『瑛司…俺が何言いたいか分かる??』
このままじゃオチが付けられないと判断した俺は瑛司に聞く。
そうすると瑛司は首を傾げる。
やっぱり分からないか。
って、俺話下手すぎるよな。
『中学生なんて嫉妬ばっかりするだろ?
だからって大人も嫉妬しないワケじゃないんだ。
ってか、大人の嫉妬は醜い。
自分が妬いてることを気づかれたくなくて必死で普通を装って。
でもそれはただ自分を守ってることにしか過ぎないんだ。
言いたいことは言わなくちゃいけない。
思ってるだけじゃ何にもならないんだ。
いいか?瑛司…』
瑛司が真剣な眼差しで俺を見つめる。
『初めて口に出して想いは好き、って言葉に変わるんだ。
今、お前の胸に秘められてる想いは
口に出さなきゃ意味がない。
怖いキモチもよく分かる。
フラれたらどうしよう…
って考えちゃうキモチもよく分かる。
でも、キモチを伝えることに意味があると思うんだ。
だからやるだけやれよ、瑛司。
もしダメだったならここに来い。
俺はいつでも慰めてやるから。
俺はいつでもお前の味方だから』
瑛司は俺の言葉を聞き終わると同時に走り出した。
やっぱり、俺の勘は正しかった。
瑛司は大人の恋を知りたいと言った。
でもそれはあくまでも表のカタチで。
裏ではきっと勇気づける言葉がほしかったんじゃないか、
そんなことを考えていた。
瑛司…頑張れよ