叶ったはずの恋。





日が傾き、オレンジ色の光が教室に差し込む。


窓を開ければ心地よい風が吹き付ける。

そこからは真っ青な海が見えて。


俺はここからの眺めが好きだった。



3年前、ここに赴任してきてから何も変わってない。


差し込む夕日の光も


心地よい風も



真っ青な海も


何も変わっていない。


そのせいか俺自身も変われないでいた。


でっかい男になる


格好いい男になる



自分で決めた目標は意外にも高くて。


まだ、越えられそうもない。



なぁ…夏希


俺、よけいなこと言っちゃったんだ。

俺、聞きたくないこと聞いちゃったんだ。


今にも泣きそうで…


あれ…??


そっと頬に触れると濡れていた。


目からポロポロと涙が零れてきた。



本当は俺、人を励ましてる場合じゃなかったんだ。


今にも泣きそうで。

瑛司に話してる最中、何度も深呼吸して涙を堪えてた。



授業が終わったと同時に俺の携帯が震えて。

液晶画面みると島先生の名前が表示されてた。


電話だったんだけど、島先生言うんだよ。




『僕、夏希とキスしました』











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