叶ったはずの恋。
真っ青な海は徐々にオレンジに染められていって。
俺の心もオレンジに染めてほしかった。
いや、どうせなら真っ白にしてほしい。
真っ白で空っぽにしたかった。
どうして俺は島先生にあんなことを頼んでしまったんだろう。
夏希を幸せにするのは俺なはずなのに。
夏希を好きなキモチは誰にも負けないはずなのに。
今さら後悔しても遅いことくらい分かってる。
でも後悔しずにはいられなくて。
涙と共にこの後悔というキモチも流れていってほしかった。
夏希へのキモチも。
何もかも全て、流れていってほしかった。
今の俺は教師なんかじゃなかった。
学校は職場なのに
完全に教師という面をはずして桐島龍貴という1人の人に戻っていた。
なぁ…夏希
お前は今、幸せか?
前まではお前が幸せならそれでいいと思えた。
なのに…今はダメなんだ。
俺の手でお前を幸せにしてやりたい、
そんな欲が出てきてる。
どうしてだろう。
3年という月日は思っていたより長くはないのか?
Side 龍貴 終