叶ったはずの恋。
後編
兄貴と陽菜
「ただいま…」
大ちゃんに家まで見送ってもらったあたしは小声で家に入る。
なぜ小声なのかって?
だって玄関に靴があったから。
陽菜のね。
でもいつものようにリビングから笑い声は聞こえなくて。
普段、兄貴と陽菜がいると笑い声が絶えない。
なのに廊下は静まりかえっていた。
ドキドキしながらリビングのドアを少しだけ開ける。
そこにはソファに肩を並べて座る2人がいて。
うん、この空気で入るワケにはいかないね。
勝手にそう判断したあたしは隙間から2人を盗み見して声を盗み聴きした。
『陽菜ちゃん…好きな人いる?』
「うん…いるよ。仁さんは??」
なんて言う声を聞きながらあたしの心臓はすごい早さで動く。
何この話題?!
絶対…そういう方向にもっていこうとしてるよね?!
ね、兄貴!!
勝手に1人で興奮して舞い上がるあたし。
ヤバイ…ヤバイよ!
兄貴!頑張れ!!!