叶ったはずの恋。






「遅すぎですよ…

なんで…なんでもっと早く…言ってくれなかったんですか?」


陽菜の言葉が途切れ途切れになって、
鼻をすする音まで聞こえて。


陽菜…泣いてる?



『ごめんね…陽菜ちゃん。


俺…あの頃は全然自信なくて。

でも、今は自分に自信がある。
少なくともあの頃よりかは自分に自信がもてる。


だから陽菜ちゃん…「何言ってるんですか」


兄貴の言葉を陽菜は遮った。


聞いちゃいけないかもしれない。

でも、もし今ここで立ったらあたしは寝れなくなる。


陽菜と兄貴にはずっと幸せになってほしいと思ってたから。

だから2人がくっつく瞬間を見たいんだ。



「仁さん…ズルイんですよ。


大人で、格好良くて、優しくて。

それなのに何が自信がないんですか?


意味分かりません。


仁さん…ズルイんですよ…」


兄貴は陽菜の肩に手を回す。


相変わらず陽菜は泣いていて。


このあとの展開が予想できなかった。






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