叶ったはずの恋。
「そう言えば会長、いつ帰って来たんですか?」
奈美の頭に手を置くあたし。
やっぱこの位置、落ち着く。
「昨日帰って来て。
今、家がお取り込み中で帰れない状態なんだよ」
はぁ~と溜め息をつく。
『家、お取り込み中ってどういうことですかぁ~??』
相変わらず甘えた声の拓郎。
高校生でもその声、違和感ないよ?
「兄貴と陽菜がね……」
そこまで言ってあたしは不適な笑みを浮かべる。
『マジっすか?!陽菜先輩と会長の兄貴さんが?!』
洋次が目を見開く。
奈美と拓郎は目を輝かせてて。
ただ健太だけは無表情。
怖すぎだって。
「きっと今ごろ家の中は甘いよ」
さっきの場面を想像してあたしはニヤリと笑う。
陽菜…きっと幸せの絶頂なんだろうなぁ…